3.

老来(おいきた)りて、はじめて道を行ぜむと待つことなかれ。古き(つか)、多くはこれ X の人なり。はからざるに病をうけて、たちまちにこの世を去らむとする時にこそ、はじめて過ぎぬる方の誤れることは知らるれ。誤りといふに、他のことにあらず、速かにすべきことを(ゆる)くし、緩くすべきことを急ぎて、過ぎにしことのくやしきなり。その時()ゆとも、かひあらむや。人は、たゞ、無常の身に迫りぬることをひしと心にかけて、束の間も忘るまじきなり。さらば、などYこの世の(にご)りも薄く、仏道を勤むる心もまめやかならざらむ。昔ありける聖は、人来りて自他の要事を言ふ時、答へていはく、今火急の事(あり)て、既に朝夕に迫れりとて、耳をふさぎて念仏して、つゐに往生を遂げけりと、禅林の十因に書けり。心戒といひける聖は、あまりにこの世のかりそめなることを思ひて、静かにつゐゝけることだになくて、常はうづくまりてのみぞありける。                                                                (『徒然草』第四十九段より)

問1 本文中の空欄 X に適する語句を、次のア〜キより選びなさい。

 

ア 老年  イ 壮年  ウ 中年  エ 青年  カ 少年  キ 幼年

 

問2 本文中の空欄Yに適するひらがな一文字を書きなさい。

 

問3 二重線部a、bの「けり」の文法的違いを説明しなさい。

 

問4 傍線部1を四字の熟語で表現すると「ア道イ行」となる。ア、イにそれぞれ当てはまる漢字を考えて書きなさい。

 

問5 傍線部2について、筆者は何を後悔すると述べているのか、わかりやすく説明せよ。

 

問6 傍線部3の「聖」が話した言葉にあたる部分を文中より抜き出し、その最初と最後の三文字を書きなさい。ただし句読点は含まない。

 

問7 傍線部4を現代語訳しなさい。

 

問8 『徒然草』と共に日本三大随筆の一つに数えられる鎌倉時代の代表的な文学作品の名前を漢字で書きなさい。